シリーズ『私の庭づくり』
花とみどりでビルを彩る
−松戸市松戸 日野動物病院−


(外階段とベランダからカラフルな花のシャワーが…)

 JR松戸駅のホームから、伊勢丹、ホテルニューオータニなどのある西口側を眺めると、細く高いビルの階段やベランダからあふれるカラフルな花や色鮮やかなグリーンの観葉植物が目に飛び込んで来る。常磐線の車内からも見ることができるので、お気づきの方も多いはずだ。
 ビルは、この地に開業して83年という古い歴史を持つ日野動物病院。2年前にビルに建て替えた。
 「特に植物が好きだという意識はなかったんですが、松戸は駅前に緑がなく味気無いと思っていたので、鉢植えの花を育ててみたところ、すっかり凝ってしまって…。」と、3代目の院長夫人。
 もともと庭はなく、病院内に観葉植物の鉢植えを置いていたくらいだったので、初めての年は植え込みすぎたり、肥料をやり過ぎたり、水やりの加減も多かったり少なすぎたりと試行錯誤の連続で、「失敗もずいぶんしました。2年目になってやっと植物の持つ特徴が飲み込めて来まして。昨年からテラスライム、ミリオンベルなどの鉢を階段に置いてみました。ベランダの花は冬から春いっぱいはパンジー、夏から秋にかけては主にサフィニア、ペチュニアです。サントリーが開発した品種を使っていますが、素人には扱いやすいですね。」
 配色にはことに気を使う。だが、シックにしたいと思っていても出来上がりが派手になってしまうことがしばしば。
 「素敵な花を見るとつい欲しくなって浮気をしてしまったり、いただきものを大事に育てたりしていると、全体の配色やバランスを見失うことになります。」
 日当たりや風通しなど環境的には恵まれていないので、それでももつ丈夫なものしか使えない。それも屋上で日光に当てて育て、元気になったら入れ替える。力のいる作業だ。
 「若い子がやってくれますので。」
 3階までが病院で4階から上は住居。家族は院長と奥様の2人だが、若い獣医、トリマーなど8名のスタッフがビルに住み込み、家族のように暮らしている。
 「鉢の移動のほかにも水やり、掃除といろいろ仕事がありますが、みんなが手伝ってくれます。私は軍曹で、あれこれと指揮をしているだけです。大変なことを始めてしまったという思いもありますが、ここまで来ると止められません。『やるっきゃないね』と言ってるんですよ。」



(ご主人自慢の青銅の門にはハンギングがマッチ)

 
「昨年来た若い獣医のI先生がすっかり花づくりの虜になってしまって。彼はわたしと感性が似ているんですよ。彩りなどを話し合ってみると同じイメージを描いているのでびっくりするんです。二人でイメージを作ってから花選びをしています。」
 とは言っても、初めての昨年は、なかなか予想したイメージ通りにいかないという失敗も経験したが、「一生懸命すればちゃんと応えてくれます。動物の世話と同じですね。その点、獣医やトリマーはみんな花づくりに向いているんですね。」
 植物は動物のように表情や仕種がないだけ余計に気を使うとか。



(弟子の動物病院に子供が育つ親のゴムの木)

 
日野動物病院はこれまで何十人もの若い獣医さんを育ててきた。
 「祖父は獣医の草分けで、馬や牛などの大型動物を扱うなど苦労したようです。その頃からうちで働き、巣立っていった獣医さんが全国に散らばっていて、こちらに来ると必ず顔を見せてくれるので、いつも賑やかです。彼らも楽しみにしているというので張り合いがありますね。」
 22年前からある入り口のゴムの木は、お弟子さんが開院する時に一枝とり木し鉢植えにするという習慣で、 何鉢もの子供が育っているという。
 「いろんなところを回って気に入った園芸店を見つけました。その店では土の配合や植え方などを指導してくれますし、また通りがかりの方々もいろいろアドバイスしてくれます。みんなが先生ですね。花を通してコミュニケーションの輪が広がりました。
 10月末にはパンジーを植え込みます。全員で夜の内に一斉に植え込みますので楽しみにしていてください。


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