| チューリップの生産日本一 新潟県を訪ねて |
| 新潟県は日本のチューリップの故郷。明治後期に三島、越路町で栽培が試みられ、第一次世界大戦で球根の輸入が途絶えた大正時代、小合村(現新津市)で球根生産が始められた。現在でも球根の出荷6,500万株、切り花2,000万本と全国一の生産高である。(平成4年度) チューリップ王国「新潟」は、世間にアピールすることもせず、ひたすら生産に励み、あるいは品種改良に取り組み、地味な活動を続けてきたこともあって、新潟県が全国シェア51%を占めるチューリップの産地であり、県の花もチューリップであることは、意外に知られていない。 近年、生産地の市町村を中心にチューリップに係わる試みが活発に行われるようになった。今号では、新潟の発信する最新のチューリップ情報をお届けする。 “にいがた花絵プロジェクト” |


| 球根を肥大させるため、生産地では花を開花直後に摘み取ってしまう。 みずみずしい花が惜しげもなく捨てられることに心を痛めた花好きの市民の間で始められた企画が“にいがた花絵プロジェクト”。 新潟市在住の花のコーディネーター中矢澄子さん(花工房「花さかじいさん」主宰)を実行委員長に、今年で5年目を迎える。 『花絵』は摘み取ったチューリップの花を色分けし、そのまま穴開きパネルボードに挿して点描する。2年目からはデザインの公募を始めた。今年は全国18都道府県から121点の応募があり、3点が入選、花絵となる。 『花絵』制作は、ゴールデンウィークの一日、15万個に及ぶ花摘みから制作まで、ボランティアの市民参加で行う。今年は縦3m、横10mのものを市内3カ所で制作。 「多くの市民の皆さんのご支援で5年目を迎え、点から面への拡大を図ります。『花絵』は作る過程が大切だと考えています。新潟が生んだチューリップに多くの皆さんが触れてほしい。手でさわり、匂いを嗅ぐことで本当に花がわかっていくのではないでしょうか。通りがかりの人にも呼びかけ、参加してもらいます。これをきっかけに街づくりに関心を持つ人が増え、生産者の方々にも喜んで頂くようになりました。これからも50年、100年と続くものに育ってほしいと願っています。」実行委員長の中矢さんはこう語っている。 チューリップの花びら染め |

(チューリップで染めた毛糸やスカーフ)
| 球根生産高日本一の中条町では、築地(ついじ)のチューリップ生産農家の主婦を中心に、チューリップ染め部会を作り、摘み取った花を染料にした染め物に挑戦している。 中条町は葉たばこ生産地としても知られる。そこで、葉たばこの乾燥機を利用し、摘花した花びらを乾燥し、草木染めの要領で染める。 「乾燥した花びらは保存できますので、手のあく冬を中心に3月まで週1回活動しています。赤、黄、紫の三色から淡いピンクやグレー、緑などおよそ15種類の色に染まりますが、その時々で微妙な変化が出ておもしろいですよ。 昨年は東京ドームやデパートの新潟物産展など県外のイベントに出品即売し、チューリップの優しい色合いとシルクの柔らかな風合いがぴったりと好評を得、とても励みになりました。町、農協も支援してくれますし、県の特産品として育てていけたらと思います。」と、代表の五島幸子さん。 4半世紀かけて新品種づくりに取り組む 五泉(ごせん)市の「チューリップ新品種育成会」は、新潟大学荻屋薫名誉教授とともにチューリップの新種開発に取り組んできた。 25年もの歳月をかけ交配、育成を重ねて誕生させた150余種の新品種。可愛らしい花にはトトロ、キララ、やん坊、にん坊など親しみやすい名前をつけ、ユリのような花形のものには星シリーズとして星占い、星の精、星のささやきなどと命名し、ニイガタ・オリジナル・チューリップとしてデビューさせた。 五泉市のチューリップは水田の裏作のため、満開後すぐ摘み取る花は捨てられる運命にある。 「球根を太らせるためと自然交配を防ぐため花を摘みます。五泉市では5月上旬に花を摘んで、6月に球根を掘り出したあと水田に戻して田植えに入ります。」 切り花も生産している。ハウスで育て3月にはほとんど終わるが、つぼみのうちに出荷するので、満開の花が見られるわけではない。 「市では巣本地区に色分けしたチューリップ畑をつくってチューリップ祭りをします。そこだけは摘まずに置き、みなさんに楽しんでもらいます。」 |

(水田の裏作のチューリップ畑)
| 西暦2000年の日蘭友好400周年を記念 オランダ政府から日本へ球根プレゼント 西暦2000年はオランダと日本が交流を始めてからちょうど400年にあたる。これを記念し、オランダにゆかりの65都市にオランダ政府から球根がプレゼントされている。397年目の今年は397個、来年は398個と、毎年1個ずつ増やして、2000年に400個の花が開花するという、心憎い企画。 西暦2000年まであとわずか、花の国、オランダの球根が、ゆかりの都市で友好400年の春を彩ることだろう。 |