現代中国事情・その1
〜女一人中国を行く〜
千葉・ゴッドマザー


「万里の長城への遊覧バス」
 東大橋市場に隣接するターミナルステーションから10分毎に長城行きノンストップバスが出ている。長城へは早めに出かけるのがよい。何故なら夏季中は中国全土から人民が観光に押し寄せ長城はラッシュになるのだ。入口、出口は東京の満員電車の混雑をしのぐすさまじさ。
 すさまじいと言えば、遊覧バス乗車は死にもの狂いというべきである。バス乗車のために先着順に列をつくって待つという習慣、マナーがないため、先を争って狭いバスの乗車口に殺到するわけ。大声でわめきちらして人を押しのけかきわけ早い者勝ちである。
 その後が又すごい。日本のオバタリアンでも顔をそむけたくなる様な光景。ここ中国ではオジサンが自分のグループや家族のために一人で数人分の席を占拠して、これはすべて自分が獲得した席だから誰にも譲らないぞと主張する。(大声でわめきつづけるのだ。)それに抗議してある老人が座ったところ、かのオジサンは更に一層大声でどなり老人を排除した。オジサンの仲間であるグループの一人が、後から悠々と来てその席に満足そうに腰かけたものである。中国青年M君は、しかたがないとつぶやくのみ。
 オリンピックで17個もの金メダルを獲得したパワーと譲らぬ負けじ魂、ど根性はこんな人民の生活の中に根ざしているのではと舌を巻いてしまった。
 もっとも、敗戦後の日本でも同様の風景に欧米人が眉をひそめたことを私は苦々しく思い出す世代である。


(万里の長城にて)

「万里長城ゆきはよいよい帰りは遅い」

 遊覧バスは往復で(10元×2)と非常に安い。往路は早めに出れば2時間で到着する。夏季とか秋季の観光シーズンにはバス、タクシー、自家用車のラッシュで、終点の駐車場まで乗車することはあきらめた方がよい。登り口まで歩くことをお勧めする。長城を5〜6km歩いて帰路のバスを探して乗ったら、満席になってから発車するのが中国流。
 往きと帰りは道路が違う。現在北京は幹線高速道路の建設中で、帰路は3時間以上かかることを覚悟しなければならない。20分以上停車することも珍しくない。雨でも降れば排水が悪くて目もあてられない状況になる道路事情も、60年代の日本の事情とそっくりである。


「内賓と外賓では入場料金が違う」

 故宮博物館の入場料は外賓(外国人)は70元、内賓(中国人)は30元代。私は外賓であるからいくらかと聞いたところ「50元だ」と切符売場のオバサン。けげんな表情で支払うのをためらったら、電卓で「39元」の数字を示した。後から来たチベット風の内賓が3人分として「120元」要請されて支払ったのを確認して「40元」を差し出したら、1元のおつりと「故宮博物館写真集」を手渡してくれた。チベット人民は写真集を貰っていかなかったので、一体どうなっているのか判断に苦しむ。謝々!
 さて万里長城は外賓30元、内賓15元、学生7.5元。私はM青年と一緒に15元、彼は7.5元で入場させていただきました。入場券を手渡すまでは彼と日本語で語り合わないことにして。謝々!


(市内の公園にてM青年と)

「公共の市内バスも空港から市街に乗り入れる時には外賓には2倍の料金を請求します」

 西安―上海を観光して北京の空港に戻った時、タクシーを利用せず人民のバスにトライしてみた。前門のバスターミナルまで12元で行く所を北京を訪問したばかりの外賓と識別して車掌のオネエサンは私に12元の切符を2枚売りつけた。人のよさそうな人民のオジサンが「彼女はウソツキだ。12元でいいのだ。」と私のために抗議してくれた。私は12元でガンバッタが、24元出さなければ乗せないと譲らない。全くどうなっているのだ。中国を訪ねる旅人はせめて「おいくらですか?」「何処へ行きたい。」その他最低限の中国語はなめらかに喋れる様にしてゆきたいものである。


(清太后の離宮「頤和園」の廻廊)

 さて、空港から市街地に乗り入れるバスも満席にならないと発車しないから、ご用とお急ぎの方はタクシーを。私は前門ターミナルまで行かず、朝陽区の京広中心のビルまでなので、20分も走ったところでバスを降りるよう勧められた。バス停で1元の黄色タクシーに乗りかえて京広中心へ。10元の支払い。何のことはない、北京空港の乗り物事情を少しかじっただけの私は、タクシーで25〜30元で行ける距離を、国益を守り主張する公共バスの車掌に外賓として24元も強要されたため、じっくり待たされた挙句、高い料金を支払うハメになったのである。
 世界女ひとり旅。全身で旅感覚を身につけるためには、損得勘定プラスマイナス織りまぜた緊張が伴います。これも人民と共に移動するためには必須学習であります。謝々!


(日本に住む中国人女性の実家に招かれ食事)

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