一つの植物が、いくつもの違った名前で呼ばれていることがあります。
例えばスイセン。友人から、スイセンの‘ティタティト’っていうのがいいわよ。と聞き、それを求めて店へいった場合、売っている中に‘ティタティト’はなく、‘テータテート’があった、この場合はおそらくこれが友人の言っていた‘ティタティト’であろう、と察することはできます。

では、‘ラインベルトアーリーセンセーション’を求めに行き、売っているのが‘レインヴェルツアーリーセンセーション’だったらどうでしょうか。‘エーリッチャー’を買いに行き、‘アーリチア’が、‘ローレンスコースター’を買いに行き、‘ラウレンスコステル’があったとしたら?これらは皆、同じ品種ですが、アルファベットの綴りをカタカナに直す際、違った読み方で直したものなのです。
カタカナの後に、‘Tete-a-Tete’‘Rijnveld’s Early Sensation’‘Ericheer’‘Laurens Koster’と書いてあれば、聞いていた読みと違っていてもまだわかりやすいですよね。アルファベットを使う国は英語圏の国だけではありません。オランダ語やフランス語など、英語とは全く異なる読み方をする言語もあります。また、同じ英語といっても、アメリカとイギリスとオーストラリアでは発音が異なる場合があります。日本人がそれらの言葉をカタカナに直す際、それぞれが思い思いに直していると、とんでもなく違った読み方になってしまう恐れがあります。

また、単にキブサズイセンとだけしか書いていない場合、それが、キブサズイセンの和名を持つ、Narcissus × odorus(オドルス)という種のことなのか、一般に黄房水仙と呼ばれていてよく栽培されている、‘ソレイユドール(Soleil d’Or)’という品種なのか、はっきり判りません。
房咲きズイセン(黄)になると、黄色い房咲きなら何でも良いということになりますから、一層混乱してしまいます。
さらに、スイセンという和名に対しても、Narcissusという学名があり、Daffodilという英名があります。Narcissusもナルキッサスと読むか、ナスシッサスと読むか、ナルキッススと読むか…。
もっと別の植物で言うと、学名にも様々な説があり、図鑑によって書いている学名が異なるものが多々あります。サクラ属をPrunus(プルヌス)としていたりCerasus(ケラスス)としていたり、ハナニラがTristagma uniflorum(トリスタグマ ウニフロルム) であったり、Ipheion uniflorum(イフェイオン ウニフロルム)であったり…。どの説をとるかは書く人の判断ですが、一体どれが一般に認められている説なのか、判断に苦しむことばかりです。

テタテート
(Narcissus ‘Tete-a-Tete’)
ガーデンジャイアント
Narcissus ‘Garden Giant’)
ラインベルト アーリーセンセーション
Narcissus ‘Rijnveld's Early Sensation’)


エーリッチャー
Narcissus ‘Erlicheer’)
ローレンコースター
Narcissus ‘Laurens Koster ’)
浜名湖花博の情報はこちらから
来春から開催される浜名湖花博では、そういった植物の名称について、正しい名称と読み方を皆さんに伝えたいと、植物プレートの記載について、現在調査・検討を進めています。作業をする中で、私たちにもやはり正しい名称・読み方を、という思いもあり、しかし、来園者の皆さんにわかりやすくないと、という思いもあり、悩ましき毎日です。

これをご覧の皆様、ぜひ、来年は浜名湖花博においで下さい。そして、植物の名前についてご意見を聞かせていただきたいと思います。


2003年10月17日